Webサービスのユーザー獲得をイノベーションの普及から読み解く
今日の市場戦略論では、ウェブサービスのユーザー獲得戦略についての講義があった。その中で、今自分が読んでいる「イノベーションの普及」について触れられていたので、簡単に触れてみたい。ただ、ちょっと本の値段が高いのが学生にとっては痛い。。
モノやサービスが普及するとは
優れたモノやサービスが普及するということはどういうことなのだろうか。
この本は優れたサービスや商品であれば世の中に受け入れられて普及するという命題に対して誤りであることを豊富な事例をもとに示している。ロジャーズは1962年にこの本を出版して、71年、83年、95年そして2007年と改定を重ねて、イノベーションの普及理論を研究している。ロジャーズは社会学の先生で、マーケティングの先生ではない。けれども、この本はマーケティングとして大きな示唆を持っている。
そもそも、普及とは
イノベーションが、あるコミュニケーション・チャンネルを通じて、時間の経過の中で、システムの成員の間に、伝播される過程である。
と述べられている。
そして、イノベーションが普及するためには、何が必要なのか?
それは、下記に示す5つの条件が必要とされている。
- 相対的優位性
- 両立可能性
- 複雑性
- 試行可能性
- 観察可能性
の5つである。
相対的優位性は、言葉の通り「あるイノベーションがこれまでのイノベーションよりも良い」と認識される度合いです。これは価格なんかも入りますよね。
2番目の両立可能性は、これまでの自分の生活習慣の中で変わらず使える。両立できることですかね。3つ目の複雑性は、複雑で難しいものよりも簡単な方が受け入れられるということです。4つ目は、トライアルが出来ること。そして最後の観察可能性は、上記の4つとは少し性格が異なりますが、「イノベーションの結果が他の人に触れる度合い」です。つまり、爆発的に広がるか、対人影響を及ぼすかということです。他の人の新しい車や新しい電子機器を見て欲しくなるという感覚でしょうか。
ちょっと、古いですが、iPodなんかを考えてみると、上記の項目に当てはまっているように思えます。それまではsonyの音楽プレーヤーが流行っていましたが、iPodが登場して市場はガラッと変わりました。小さくてたくさんの音楽を持ち歩ける。これまでと同じ生活習慣の中で使える。操作は単純、トライアルはもちろん、持っていて格好いいという対人影響もありました。
このように、イノベーションが普及するには、いくつかの条件があることがわかります。それは、良い商品やサービスだからっといって、必ずしも受け入れられるということではないことです。これは自分自身、現在、プロダクトを作っている中で感じることです。上記の条件を満たしたプロダクトを作りつつ、あとはマーケティング戦略をどう構築するか。それは、今後自分が考えなくてはならない課題の一つです。