家電にデザインという新しい付加価値をつけることで、ものづくりに新しい光を与えたのがバルミューダだ。それはデザインだけではない。機能も徹底的に考えられている。
バルミューダの社長の寺田さんは、自らスケッチを描いて新しい機構や構造を生み出して、デザインの細部にまで目を光らしている。あまりテレビを見る機会のない自分にとってたまたま先日、ガイアの夜明けでバルミューダが取り上げられていたのを見た。
日本の家電は衰退したと言われる中、「従来にない価値を得られる家電に対して、一般的な価格をはるかに上回る代金を支払うプレミアム消費者」が実は存在していて、そこにプレミアム家電という市場を切り開いた。
とは言っても、デザインが優れていればなんでも売れるわけではない。「ある狭い範囲の商品・サービス分野に、まとまった大量のニーズがあることにいち早く気づくこと」が重要なのだろう。マーケットを取り巻くマクロ環境から、時には量販店に足を運んで、消費者の動向に目を光らせる。消費者のニーズを読むことに長けているのも寺田氏社長の強さなのだろう。
今、「バルミューダ 奇跡のデザイン経営」を改めて読んで思うのは、やっぱり死ぬほど戦略を考え抜いて、ありとあらゆる情報を分析し、無駄なノイズを徹底的に排除した根幹にある部分をどうやって見つけるかだと思う。
苦しんだ末に、新しい市場を見つけることができるんだろうね。ものづくりで起業を考えている自分にとって、この本のから得られることは多い。
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P.2にある、ストリンドベリの「青巻」からの引用はなんとなくそんな雰囲気を表しているようにも思えた。
祈りながら働け。
苦しみながら望みを抱け。
天と地とを共に吾が裏に有つのだ。
永久の定住を求むるな。
此の世は巡禮 の世である。
故郷ではなくて、さすらひの場である。
真理を求めよ。
さらば
発見し得る。
戦略とマーケティングとそれを支える組織。この3つがうまく回る仕組みを作れているのがバルミューダの強みなのかもしれない。